獣の奏者 感想

 上橋菜穂子作「獣の奏者」を読んだので感想を書きたいと思います。

ネタバレを含むのでご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

獣と心を通わすことができる少女エリンの一生を描いています。

エリンは闘蛇(とうだ)と呼ばれる獣の世話をする人たちがいる村に生まれます。

父親は亡くなっており、母親(ソヨン)と二人で暮らしています。

ソヨンは1人だけ違う部族出身でエリンを育てていました。

その一族の掟はものすごく厳しいものでした。

ある日、ソヨンが世話をしていた闘蛇が亡くなり、責任をとり、母親が処刑されることになりました。

ソヨンはエリンを救うために、生まれ育った村の掟で禁止されていた、操者の術(指笛)で闘蛇を操ります。

闘蛇に乗り、流されたエリンは、流れ着いた所にいたおじさん(ジョウン)に出会い引き取られ、暮らします。

ジョウンに山へ連れてられ、そこで、王獣に出会います。

エリンは王獣の姿に圧倒されます。

その後、獣医の学校へ入学し勉強を始めます。

そこ王獣について学んでいくうちに野生の王獣と学校で飼われている王獣がかなり違うことに気づきます。

エリンは野生に近い状態で育てたいと考えます。

行動していくうちに、王獣と心を通わせることができるようになります。

卒業後、獣医の学校の先生になり、過ごしていました。

王獣について調べてみると、闘蛇と王獣が戦に使われ、起きた悲劇があることに気付きます。

そこには、王獣を育てる時の規則やソヨンの一族の掟が関係あることを知ります。

ですが、その悲劇について詳しく知ることができませんでした。

王獣が王室の象徴であることもあり王女ハルミヤに出会います。

そして、その護衛のイアンと結婚し、息子(ジェシ)もでき、幸せな日々を送っていました。

ですがある時、その力を戦に使うよう、王女セイミヤ(ハルミヤの孫)に 説得されます。

説得を拒否し逃げていたエリンですが家族を守るため自分の才能を戦に使うことを受け入れます。

闘蛇と王獣が戦うとどのような状況になるか分からないまま、エリンは戦に出ます。

ジェシは時を同じくして、悲劇の全貌を知り、エリンに伝えよう動きます。

エリンは、戦場に着いたジェシも守るため、亡くなりました。

 

生き物が人間との関わりの中で自然な姿を保てるのか。

エリンは王獣が自然な姿(野生の姿)でいて欲しい、その一心で行動していました。

その思いはエリンの死後、果たされることになります。

掟だけが受け継がれ、その掟がある理由が受け継がれておらず悲劇が起きた思います。 

歴史の継承、特に記録を残すことの大切さを痛感しました。

自分の力が政治や戦争に利用されそうになった時人間はどのような対応をするのでしょうか。

自分の力を戦争に使わず家族を巻き込み隠れて生きるのか、力を使い戦争をするのか、

答えは出ません。

時代や状況ともに規則は変わっていくのだと思います、しかし、なぜ規則ができたのか、その背景を知り、対応策を考えからではないと変えてはいけないと思います。

そのために歴史を学ばないといけないと感じます。